狂四郎2030「とってもスケベで悲しいお話」
『狂四郎2030』は、書いている作者(徳弘正也)が好きだったことをきっかけに、読むことを決めた作品です。
少年時代に読んだ、あの不朽の名作『新ジャングルの王者ターちゃん』には、何度も泣かせて貰いました。
このマンガは、来る近未来を舞台にしたスペクタクルロマンなのですが、あらすじを一言説明するのが非常に難しい作品です。
あえて無理矢理に説明するならば、国の法律により、男女が完全に隔絶されてしまった社会で、バーチャマシンという機械を通して仮想世界で結婚することになった夫婦が、幾多の苦難を乗り越え、現実での再開を目指すという作品になります。
最初に言っておきますが、この作品はかなりエロいです。ページによってはエロマンガ並みの描写がなされています。
こういう作品を読むと、エロ本を買う勇気がなかった頃、大変お世話になった『東京大学物語』を思い出さずにはいられません。
「俺はただマンガが読みたいんだよ」
「別にスケベな気持ちからじゃないんだよ」
というエクスキューズを盾に、近くの書店に走りまくったあの淡い少年時代の記憶が、読んでいる途中に何度も蘇ってきました。
ただこのマンガの場合は、相当大人になって読んだからという事情とは無関係に、スケベな描写があんまり気にならないんですよ。
はっきり言って、『東京大学物語』はストーリーそっちのけで購入していたんですが、こっちは、そういう風に作品を見るのが申し訳なくなるぐらい悲しいお話なので、エロさ満点の夫婦の営みのシーンが切ないというか、何と言うか、段々とスケベな目でページをめくることが出来なくなってしまうんです。
けれどもその一方で、代表作のターちゃんから引き継がれた、ところどころのシモネタギャグがホッとはさせてはくれるので、単に暗い気持ちになってしまうという作品ではありません。
厳しい時代を生きる切なさの中に、ポンと一拍置く部分を作ってくれているんです。
話としてはシリアスな作品なので、いつか物語のリズムが崩れちゃうんじゃないかなと心配していたんですが、結局それが邪魔になるなんてことは最後までありませんでした。
悲しいんだけど、笑える。笑えるんだけど、悲しい。
現実にこんなことが起きたら、自分は主人公の二人のように生きられるんだろうかと、真剣に考えさせられました。
しかしながら、絵柄的には好みの分かれるところです。
絵自体は丁寧ですし、綺麗なんですけど、かなりグロテスクなタイプの絵なんです。
戦いのシーンでも内臓とかが出まくるし、人も切断されまくるので、そういうのが苦手な人方にはあんまりオススメできません。
また、グロイのは平気だけど、単純に絵が嫌いという人も出てくる可能性があります。
私の友人の中にも、この作品に出てくる女性を、「綺麗に見えない。怖い」と評価した方が少なからずいました。
私個人としては他のマンガよりずっと女性も綺麗でセクシーに見えるんですが、こればっかりは好みの問題なので何とも言えません。
絵を重視して作品を選ぶ方にとっては、ひょっとすると、ストーリーが頭に入って来ないかもしれません。この点は、エロがダメな人も同じことが言えるます。
でも、矛盾するようですけど、もし仮にそういった好み違いの方が読まれたとしても、たぶん全然面白くなかったとは言わないんじゃないかとも思うんです。
私も未来系のマンガはこれまで苦手でしたが、この作品は、すんなりと受け入れられましたから。
出来るだけ食わず嫌いはして欲しくないマンガですね。
ほら、大人になって酒を飲むようになったら、結構シイタケが好きになってたりするじゃないですか。
この作品もたぶんあれと同じだと思います。















