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殺し屋1「笑わせてくれる暴力映画」

殺し屋1は、同タイトルのマンガを元にして作られた変り種のヤクザ映画です。

心にトラウマを抱えたイチと呼ばれるサディスティックな殺し屋と、究極のマゾヒストである超武闘派暴力団の組長垣原(浅野忠信)との痛々しい戦いを、他の近隣暴力団組織や、イチを取り巻く仲間との関連性を交えて、相当暴力的に描いています。

また、R-18指定なので18歳未満の方は、見ることができないということも、付け加えておきましょう。

さて、いきなり結論から入らせて頂きますが、この映画は、キャッチフレーズ通り、色んな意味で『痛い』作品だと思いました。

ヘタなスプラッター映画よりもずっと残酷ですし、もう人間として、これだけは勘弁して欲しいなという拷問や殺害方法で、数々の人々が血を流していきます。

とにかく痛みというメインテーマは、痛いほどに伝わってくる作品です。

ただし、それ以外のストーリーは相当適当でした。たぶん原作を読んでいない人には、登場人物の関係性やそこにある背景が、非常に分かりにくくなってしまっていると思います。

しかも、ほとんどの登場人物が、はっきりとした口調で喋るタイプの人間ではなかったせいで、それに拍車をかけてしまっているんです。

ですが、それぞれの登場人物には、それを補ってあまりあるくらいのクセと魅力が感じられます。

そのおかげで、有名な俳優がそれほど多く出演しているわけではないのに、映画を見ている時に良くある「コイツ何だったけ?」みたいな現象は、ほとんど起きずに見終えることが出来ました。

木を見て森をみなければ、面白い作品になり、森を見て木をみなければ、良く分からない作品になるという、極端なまでに見る者の好き嫌いが分かれてしまう作品だと思います。

だから、映画の細かいところを見るのが好きな私のような人間にとっては、それなりに楽しめる作品ではありました。特にお気に入りは、1を殺し屋として利用するジジイです。

このジジイ、皆からジジイと言われているわりに、全然ジジイじゃないんですよ。むしろやっとおっさんぐらいの年齢です。

しかも、初対面の人間に「ジジイです」と自己紹介するわけでもなく、当然のようにそう呼ばれるんです。やや反則気味ではありますが、この描写ついては、少しだけ笑ってしまいました。

また、他にも、頭にはそれほど怪我をしていないはずなのに、治療後に包帯をミイラみたいに巻いている鈴木という暴力団幹部が出てきたり、その鈴木を脅す時に使う青龍刀が玩具みたいに安っぽかったりして、『痛い』意味でところどころ「ぷっ」程度に乾いた笑いをさせてくれます。

そして、おそらくではありますが、それらの設定が全てわざとなのです。

結果的に矛盾してしまったというなら、客として腹が立ちますが、意図的にされると、まあいいかなという気がして、一定の評価をしてあげたい気持ちが湧いてきます。

もちろん、私が深読みし過ぎているだけということもありえますが、個人的にはそう思えたので、笑わせてくれる暴力映画が好きな方には「そんなに悪くなかったよ」と、生徒に答案を返す教師のような気持ちで、ご紹介出来るなんじゃないでしょうか。

しかしながら、繰り返しお伝えしている通り、相当好みの分かれる作品です。グロイ描写が超苦手という方は、もしかしたら開始10分ぐらいで、停止ボタンを押してしまうかもしれません。

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