実写化されていないけど、素晴らしいマンガ達。

さて、本というものの素晴らしき魅力を、余すところなく語りつくす予定のこのFantastic bookですが、一つ前のページに掲載されているFavorite DVDといきなりややかぶり気味の企画で、進行させて頂くことになってしまいました。
ただ、ブック(本)をご紹介するページを担当している以上は、これは仕方のないことだと思っています。映像作品を撮る時には、そもそも脚本ってものがあるわけですから、紙の上の文字も、画面上の映像も似たようなものです。
なので、いっそのこと、しょっぱなから被らせて前例を作ってしまおう!そうしよう!と、ここは開き直ってしまうことにします。
その昔さわやかなる三組に所属していた人間にはそういう潔さがあるのだというように、ご理解頂ければ大変ありがたいです。
ってなわけでFantastic book「実写化されていないけど、素晴らしいマンガ達」編の始まり、始まり~。
※当カテゴリーには少々のネタばれを含んでおります。
闇金ウシジマくん「やさしい高利貸しなんていない」
まあ、その可愛らしいタイトルからは想像も出来ないくらい、ドギツイマンガです。表紙に使用されているモコモコ気味のフォントが、憎たらしくさえなります。
お話としては、タイトル通りウシジマくんが経営する闇金融と、それを取り巻く人々を描いた作品なのですが、その中身は、ほとんど救いのない話ばかり……
貸金業をテーマにした漫画の有名どころである、ミナミの帝王やナニワ金融道のような、分かりやすいお情けはありません。貸金業者として、これらの主人公と全く比較にならないぐらい、きちんとひどいことをやってくれます。
さらに、それに追い打ちをかけるかごとく絵も思いっきり怖いです。人間の負の部分というか、暗い部分というか、そういうのを前面に出したタッチで描かれているため、胸に迫ってくるような陰鬱な読後感を読者に与えてくれます。
どんなにお金がなくても、取り敢えず闇金だけは避けましょうというのを、羽交い絞めにされて無理矢理胸に刻まれる感じです。
しかしながら、これがやっぱり現実なんだと思います。
夢がないと言われればそれまでですが、闇金をやるような人間が優しかったら、何のために危険な商売をしているのか、わからないじゃないですか。
「俺は法を犯して高金利で金を貸してるけど、本当はやさしいのよ」みたいなのは全く意味不明です。
だったら、最初から法定金利で貸付けてやれよという話になります。
というか、悪いことをしている人間が時折見せる優しさっていうのは、そもそも真の意味での優しさではないのです。
被害者を懐柔しようとしているだけの話なのです。
完全に悪に徹してくれた方が、迷いなく恨むことが出来る分、よっぽどマシな気がします。
犯罪者にこういう表現をするのもどうかと思いますが、その点でウシジマくんは、大変に好印象な悪人であると言えるでしょう。悪そうに見えて実は良い奴なんてオチは、彼にはありえません。
ただ作品そのものとしては、かなりの良作で、『闇金ウシジマくん』といいつつも、あんまりウシジマくん中心に物語を描いていないところが、特に好印象でした。
もちろん、お金の面では絡んでくるんですが、クローズアップされるのは貸し付けた相手やその周りの人々で、皆本当にそこらにいそうな人ばかりなんです。これまでの金融マンガの王道であった、法律上の問題や抜け道指南よりも、リアルな人間ドラマの方に重点を置いています。
ただ、ギャグの要素はあんまり期待しない方がいいかもしれません(元々シリアスな作品ですし)。
ちょっとした、気の抜き所みたいなシーンは用意されているんですが、それがあることによって、逆に怖いというか、なんというか、微妙な気分にさせられます。
ホラー映画の殺人鬼も、如何にもっていう出で立ちの奴より、ちょっとしたジョークも言える朗らかな奴だった方が怖いことがあるじゃないですか。
これもそんな感じです。
ですので、落ち込んでる時とかにはあんまり読まない方がいいかもしれません。
それほどまでに、かなり『来る』作品です。
精神的にしっかりした状態に読むのがいいでしょう。
また、鬼のような金欠の時には、闇金に走るのを止めてくれる効果があるかもですが、買って読むのは、出来るだけお控え下さいと言っておきます。
そこは、リアルウシジマくんを利用するようなことにならないよう、その分のお金を生活費に回しましょう。
ある程度、表現に規制があるマンガでこんなにも酷いなら、本物はもっとシャレになってないでしょうから。
『ご利用は計画的に』のキャッチフレーズは、闇金業界には一切通用しないのです。















