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美味しんぼ「料理があれば世界も救える」

漫画じゃないんだから5つ星評価:★★★★★

最早説明はいりませんね。死ぬほど有名な作品です。いきなりですが、この作品の星は5つとします。今のところこれに勝てる作品は見当たりません。

だって、もうありえないですよね。究極と至高の料理対決は百歩譲るにしても、普段の一話完結系の話に出てくる食をからめての人間ドラマは、特にありえません。

このタイプの話では、人生相談みたいなものをされた主人公達(山岡、栗田)は、世の中のあらゆる悩みごとを、全て料理で解決してしまいます(無論、自分達の問題も)。

雰囲気こそリアルな感じで描いていますが、人間の人生はそこまで料理に影響されませんよ、という話です。料理一つでそんなに人生が変わるなら、世の中は皆グルメばかりになってしまいます。

っていうか、そもそも1回2回あったかどうかという人間に、人生の悩みを打ち明けますか?

職場の同僚や過去の友人の話については、まだわからないところがないわけではありませんが、主人公達に相談にくる多くは、道端とかそこらであった人達なんですよ。相談する方も相談する方ですが、どこの馬の骨ともわからんお前に、「なんでそんなに偉そうにアドバイスされなきゃいけないのよ」と思ってしまいます。

これって、悪く言い換えればちょっと変わったナンパみたいなものですよね。人生相談を受けた主人公は、必ずと言っていいほど、当事者と一緒に食事に出かけるんです。主人公達も立派な社会人なのですから、もう少し節操を持たなくてはなりません。

それなのに二言目には「じゃあ、食事にいきましょう」でしょう。渋谷周辺で手当たり次第に声をかけまくっているギャル男だって、もう少し段階を踏む気がします。

また、その料理を食べに行った時の料金は誰持ちなのか?といった点でも、疑問が残る作品です。せめて割り勘ぐらいにはしておかないと、主人公達はいくらお金があっても足りません。

大手の新聞記者がいくらお給料を貰える仕事なのかは分かりませんが、私が見る限りでは、普通のサラリーマンの給料では、破産してしまうような無茶な外食の仕方をしています。ぶっちゃけセレブの暮らしぶりです。Category=F にもほんの少しでいいから、分けて貰いたい。

しかもこういった矛盾に対して、「漫画じゃないんだから…」というツッコミを入れにくい感じがあるんですよ。さも当然といった感じで、物語は『食』に重点をしぼって語り続けます。「腹が減っては戦は出来ぬ」の諺が、全てを支配しているような世界です。

これは、『漫画じゃないんだから…度』で言えば、意外性として加点プラスされることになります。漫画としてはほのぼの出来る良作だとは思いますが、そのありえなさは、料理漫画の中でもピカイチだと言えるでしょう。

『ミスター味っ子』や『鉄鍋のジャン』の威風堂々としたありえなさよりも、こういう侘び寂びな感じのありえなさの方が、何故か胸に迫るものあります。

なので、繰り返しになってしまいますが、星は最高点の5つです。

漫画の中の表現を借りるとすれば、この『美味しんぼ』は、通常の「漫画じゃないんだから」感に飽きてしまった方が行き着く、究極のメニューだと言えるのではないでしょう。

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