『タイタニック』
~極寒の海に彼氏を放置して、歌を歌って暇を潰す彼女の事情~
ただ、これまでのローズの行動については、まあ許せるという部分はあります。
当カテゴリーも鬼ではありません。人間というのは弱い生き物ですから、劇的な出会いと、劇的な事故が重なった際に、上記程度の混乱があるのも、あり得る話です。
ですが、彼氏を極寒の海の中に放置をしておきながら、自分は船板の上でのんびり歌を歌っているというのは、流石にどうなんでしょうか。
雪山に遭難した映画なんかでは、「寝るな!寝たら死ぬぞ!」「歌を歌って、眠らないようにしよう!」的なシーンがよくありますが、彼女の場合は、雪山のそれではなく、どうひいき目に見ても暇つぶしか子守唄。
ローズは船板の端を掴みながら、震えるジャックを見つめずに、漆黒の空を見上げて天体観測を始めます。
この時、彼の生死は定かではありませんが、彼女の子守唄をもって、最後の時を迎えたような気がしてなりません。
そして、ローズは救命ボートからの声を聞きつけると、もののついでで、思い出したかのように、ジャックの様子を伺います。愛する者を命がけで救った結果がこの仕打ちでは、彼の魂も浮かばれません。
『タイタニック』
~医学的な生存確認もせずに彼氏を沈める愛~
いよいよジャックとローズの今生の別れとなりました。
このシーンを映画史に名を刻む名場面として挙げる方も少なくないでしょう。
しかしながら、専門家による生存確認もせずに、あっさりと海の底に沈めてしまったローズには、やはり疑いの目を持たなければなりません。
「本当に愛してたの?」と。
彼女は医者でもなければ看護婦でもないのです。見た目には死んでいるように見えたとしても、一度ボートにあげて、救命措置を試してみるぐらいのことはしてみるでしょう。
ひょっとしたら、仮死状態だった可能性もあります。
でも、ローズはきっぱりとあきらめて、船板につかまっていたジャックの手をはがします。百歩譲って、そのままの状態でそっとしてあげるならまだしも、自ら引導を渡してしまっているのです。
彼はそのままゆっくりと沈んでいきます。その時彼の胸中に何がよぎったかは、最早知るよしもありませんが、ローズとの出会いから別れまでを走馬灯のように、見たのではないでしょうか?
ここまで徹底的に人生をメチャメチャにされると、逆に感心してしまいます。当のジャックも少しM気質があるのか、満足な笑みを浮かべているようにみえました。性癖というものは人間にとって、時に生死に係わる重要な要素なのかもしれません。
ローズのような女性にはくれぐれもご注意を。
ざっと挙げて見ただけでもこんなところです。
このローズという女性には他にも沢山のおかしな部分があるのですが、今回はこのあたりに留めておくことにします。かくいう当カテゴリーも途中まではこのローズを信じていたわけですから、そんなに偉そうなことは言えません。
なので、この件に関しては、ジャックに全く非がなかったわけでもないというのは、最後に付け加えておきます。
ローズの行動の裏を返せば、彼にも、至らないところが択山ありました。
まず、婚約者のある女に手を出したのがいけなかったし、夢と希望に満ち溢れてタイタニック号で、女にうつつを抜かしてしまったのもいけなかった。
そして何よりも、あんなにもイケメンであることがいけなかった。
もともとイケメンでなかったら、ローズに見向きもされずに、孤独に船酔いにでもなっていたことでしょう。イケメンというのは、女性との出会いで苦労をしない分、こういった面では凡人以上のリスクを背負っていきているのかもしれません。
ローズみたいなのと出会ってしまって、少し可愛そうと思いつつも、心のどこかではそれを楽しんでしまっていたのは、こんなところに理由があったのだと思います。
今回のテーマは「恋に落ちても溺れる女性」と題していますが、ローズのような女性に恋をすること自体が悪いというつもりはありません。
恋は盲目と言われている通り、するものではなく、落ちるものですから、「恋をしちゃったんだから仕方ない」というのはよくあることです。
でも、人間というのは、その都度その都度で、一度考え直すことはできます。大事なのは、常に適切な判断を怠らないということなのです。
その判断を怠ってしまったがゆえに、ジャックは失敗してしまいました。本人は最後まで愛を貫くことが出来て満足なのかもしれませんが、ローズのペースに合わせずに、自分の考えを押し通すことが出来たら、もしかしたら、二人とも助かる道だって、あったかもしれません。
ジャックには死亡フラグを立てずに引き返すチャンスはギリギリまであったのですから。
結局彼は、恋に落ちたのではなく、恋に溺れてしまったというわけなのです。
なお、今回のレビューは男性向けに書いたものではありますが、ローズのような行動する男性というのも、おそらくは存在しているので、女性の読者様も是非今後の参考にして頂ければと思います。
男性版のローズは、どう考えても、正規版のローズより性質が悪いです。命を救ってくれた女性をほっぽらかして、歌を歌っている男なんて、本当にロクなものではありません。
今回は、『タイタニック』の大ファンの方にとって何一つ納得できない記事になってしまいましたが、機会があれば、批判を覚悟手女性向けにもまた同じテーマでレビューを書きたいと思います。
そういう意味で言えば、当カテゴリーはローズと同じように我が強い部分があるのかもしれませんね。

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