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お題 其の四 『記念日』

さて、いきなりですが、今回のお題は『記念日』でいきたいと思います。ただ、当カテゴリーはまだ4回目なので、特にそれを記念してというわけではありません。あしからず。お祝いはもっと先の話です。

記念日…日本人は本当に記念日を作るのが好きですね。特に恋愛関連の記念日はその傾向が強いと思います。

『初めてデートした記念』『付き合った記念』『初めてキスした記念』例を挙げだすと推挙に暇がありません。

一組のカップルに『結婚記念日』が出来るまでの間には、一体どれだけの記念日が創出されるのかと、心配してしまうほど、数多くの記念日が作られていきます。

それだけに、この恋愛関連の記念日は作った方は覚えているけど、相手は全く意識していないなんてことが良く起こりがちです。片方だけがノリノリで記念日を山のように作っているので、イチイチ覚えていられなくなるというのが、その主な原因であるような気がします。

また、お互いの恋愛感情の温度差も少し関係があるでしょう。

そうなると、もう片方には「今日、何の日か知っているよね?」の台詞の度に緊張が走ることになります。本来なら嬉しいはずの記念日が、段々と脅迫めいた存在になっていくわけです。

例えば、俵万智さんの有名な歌集『サラダ記念日』の一首にこんなものがあります。

「この味がいいねと君が言ったから七月六日はサラダ記念日」

どうでしょう?

短歌として詠むのは芸術的でも、実際に恋人の口から言われたとしたら、ちょっとした恐ろしさを感じませんか?

「この味がいいねって君が言ったんだから、言ったのは君の方なんだから、七月六日はサラダ記念日にするよ。文句ないよね?」

「はい…七月六日は二人のサラダ記念日だと思います……」

ここまでの状態になるというのは、多少極端ではありますが、もしそうなれば、記念日に執着しない人にとっては、記念日による恐怖支配が始まったことになります。

雨が降りそうで、「折り畳み傘持って行けば」と何気なく君が言ったから、六月十日は折りたたみ傘記念日。

柔軟剤でフワフワになったバスタオルで体を拭いた後に、「この匂いがいいね」と君が口をすべらせれば、十月二日はバスタオル記念日。

最早、言論の自由はありません。完全に恐怖政治です。

もし、うっかり忘れてしまえば、後にはきついお仕置きが待っています。これは、喜びを分かち合うべき本来の記念日の趣旨から言えば、完全にズレてしまっていると言えるでしょう。

やはり記念日というのは、ほどほどの量がいいのです。

どんな記念日を作ろうと本人達の自由ではあるものの、それが両方にとって大切な記念日でなければ余り意味はありません。

本当に大事なのは記念日そのものではなく、愛する相手と一緒いれるという幸せ方なのです。

『過ぎたるは及ばざるが如し』

女性に対しては過ぎたる想いしかない、私のような人間が言うのもアレですが、この諺はこの『記念日』にも通じるところがあると思いますね。

では、そろそろ『サラダ記念日』がやってきます。

どういう祝い方をすればいいのか、まるでわからない記念日ではありますが、六月十日に食するサラダには、このコラムを書いた記念にレモンの一つでも絞ってやろうかとは思っています。

そう、あの甘酸っぱい恋の味のように。

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