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経験のみが裏付けることが出来る『ファンキーな答え』

毎回、芸能人でもない、スポーツ選手でもない、ごく普通の一般人をピックアップして、その方が持つファンキーな部分をお聞かせ頂くインタビュー企画、ファンキーピープル。いよいよ、その二人目である。

しかしながら今回は、前回とはいきなり趣向を変えて、こちらがご用意したお題についてのテーマインタビューとさせて頂くこととした。無論出題するテーマはゲストの方のご職業と関連するものである。

また、今回はお仕事の都合上、後姿の撮影もNGとのことだったので、掲載画像が全てイメージとなっている点にもご留意頂きたい。

はさみ

プロフィール

名前 斎藤 治夫(サイトウ ハルオ)※仮名
年齢 31歳(昭和54年生まれ)
性別 男性(既婚)
職業 美容師(チーフマネージャー)
趣味 ネットサーフィン
特技 マッサージ

普通の人だから見えるモノ。 普通の人にしか味わえないコト。嬉しくなってしまうほどの普通さの中に、キラリと光るファンキーな回答とは、一体如何なるものだろうか?

風呂場で頭を洗っている時に後ろに感じる気配の正体は?

記者

「本日はご多忙の中、ご足労頂きまして、誠にありがとうございます。今回のインタビューテーマは、斉藤さんが現役の美容師であることに関連しまして『風呂場で時に後ろに感じる気配の正体は?』です。それでは宜しくお願い致します」

ゲスト

「宜しくお願い致します」

記者

「では、いきなり結論から伺わせて頂こうと思います。斉藤さんとしては、あの時に背後に感じる気配って、一体何なんだと思われますか?」

ゲスト

「そうですね。出だしから結論を求められると、少し厳しいものがありますが、幽霊でないことだけは確かだと思います。おそらくは、妖怪でもないでしょう。私のつたない経験だけで考えていくと、『私がいる』という答えが一番妥当な結論になるのかもしれません」

記者

「私がいるですか……初めて耳にする大変興味深いご意見ですね。世間では、幽霊や妖怪などの非科学的な結論が一般的なようですが……」

ゲスト

「いや、それは私からしたらありえませんね。小さい頃には私も『頭を屈めて髪を洗っている時、背後に何者かの気配を感じるのは、後ろで大男が首を刈り取ろうと、斧を持って立っているから』なんて良く親から脅されていたもんですが、よく考えてみたら、その大男は相当な間抜けでしょう。手が邪魔になってるから、確実に首は切り落としにくいですし、それをわざわざ風呂場でやる意味もわからない。もし、その大男とお会いすることがあったら、おそらくは『綺麗好きかよ!』と、頭を叩いてしまうと思います」

記者

「斧を持った大男ですか(笑)流石にそれはないでしょうね。……ただ、お風呂で頭を洗っている状況って、実施に振り返ってみると、絶対そこには誰もいないわけじゃないですか? そのお答えだと、気配の正体が、その大男ではないということは、百歩譲って確かなことであるにしろ、幽霊などの非科学的な存在であるかもしれないという点までは、否定できないような気がします。ハッと振り返った時にだけ姿を消すっていうのは彼らの常套手段ですし」

ゲスト

お風呂「うーん。こういう問題をきちんと論理的に否定しろと言われると厳しいものがありますが、それもまずありえないと思いますね。職業柄、一日に何百人という人の髪を洗うんですけど、もし、そういったことがあるんであれば、私が真っ先に気が付くはずでしょう? それなのに、お客様の背後から霊的なものを感じたことなんて、ただの一度もないんです。お客様の頭を洗っている時は、私も必ず背後にいるわけですから、本当にその正体が幽霊や妖怪なら、彼らがどんなに気をつけていたって、私にだけはその姿が見えるはずだって思いますね。性格的にも注意深い方なんで、絶対に見落とたりもしませんし」

記者

「なるほど……では逆に、斉藤さんがお客様の頭を洗っている時に、斉藤さん自身の背後に何かを感じることっていうのはないんでしょうか?」

ゲスト

「全くありませんね。感じるのはオーナーの厳しい視線ぐらいです。非科学的な要素を感じたことは一切ありません」

記者

「すみません、今ちょっと、一連の斉藤さんのお話の中で腑に落ちない点を思い出したので、話を戻させて頂きます。最初に結論で風呂場でシャンプーをしている時には『私がいる』とおっしゃっていましたよね? これって十分非科学的なんじゃないですか? 自分の後ろに自分がいるってのは、分身術でも使わない限り無理でしょう」

ゲスト

「少し表現が足りなかったかもしれませんね。厳密には『私と同じような美容師や理容師の幻影がいる』という意味で言ったんですよ」

記者

「と、おっしゃいますと?」

ゲスト

「ほら、日本人であれば、ほとんど全員の方が一度は美容院や床屋さんに行った経験があるでしょう? これは言い換えると、誰だって人生の中で一度くらいは、髪の毛を背後から他人に洗われるという初体験をしているということになります。特に幼稚園や保育園への入園前なんかは、物心がついてから、その初体験をする一番のきっかけです。長年美容師をやっているので、今までにも沢山経験しているんですが、この時に、結構な数のお子さんが泣いちゃうんですよ。だから私は、この時の恐怖心が深層心理に残っていて、多少大きくなってから、それが表に出てくるんじゃないかって、思ったんです。一人お風呂場で髪を洗うという不安感が、小さな時に感じた美容師や理容師に対する不安感と重なって、その幻影を無意識の内に背後に生み出してしまったのではないだろうかってね」

記者

「最初に来店されたお子さんって、そんなに泣いてしまうものなんでしょうか?」

ゲスト

「我々は常にハサミを持ち歩いてますし、独特の匂いと雰囲気があるので、おそらく小さな子にとっては怖いところみたいに映るんでしょう。しかも、見ようによっては、歯医者さんにも少し雰囲気が似ていますからね。でも何よりもの理由は、我々の髪に対する接し方が、ご両親それとは違うっていうことだと思います。どんなに愛情を込めてやっても、我々はあくまで仕事としてやっているに過ぎませんので、どうしてもご両親よりは冷たい印象を受けられてしまうんです。子供は正直ですから、きっとそれをどっかで感じ取ってしまうんでしょう。二回目になると結構そうでもないんですけどね。」

記者

「そういう経験に裏打ちされたご回答を頂くと、なんかつい納得してしまいそうになりますね。幼年時代の美容院での初体験が背後の気配の正体ですか……」

ゲスト

「私の勝手な意見なので、これもある意味では非科学的なのかもしれないですけど、このテーマについての私なりの考えを述べるなら、これが一番しっくりする答えですね。本当のことを言えば、我々も出来る限り、お子さんには恐怖心を与えないようにしないといけないので、少し悔しい気もするんですが、全てのお子さんに大丈夫なように、というのはやはり難しい話ですから」

記者

シャンプー「そうですよね……まあ、風呂場で頭を洗っている時に背後に気配を感じたからと言って、生活に支障があるわけではないでしょうけど、そういう風にお考えになっているのなら、なんか、くやしさは残りますよね。大人になってからも怖がらせてしまうほどの深層心理になっちゃっているみたいな……」

ゲスト

「ただ、気の持ちようによっては、それほど落ち込まなくてもいい考え方ではあるかもしれないです。いつの日かお客様に『最初に髪を洗った美容師が、後々まで正しい髪の洗い方を見守ってくれているんだ』って感じに思って頂けたら、それは大変嬉しいことですからね。喜びこそしても、落ち込む必要はどこにもありません」

記者

「いいですね。非常に前向きな考え方で僕は好きです。今回のテーマに対する答えとしても、ほぼ完璧じゃないですか」

ゲスト

「ありがとうございます(笑)」

記者

「では、最後に今回のインタビューテーマに関連することで、何か読者様に一言頂けますでしょうか?」

ゲスト

「今回私がお答えした、『風呂場で頭を洗っている時に後ろに感じる気配の正体』が、これを御覧になっている読者の方々にとっても的を射た答えになっていると大変嬉しいですが、実際には非常に個人差に影響されやすい答えだと思っています。世の中には色んな方がいますから、もしかしたら、小さい頃に美容院で泣いた記憶なんてないし、髪を洗っている時だって、何も感じないといった厳しい反論をお持ちの方だっていらっしゃるかもしれません」

ゲスト

「でも、我々美容師が、常にお客様の今後のことを考えながら、その髪の毛に触れているということだけは信じて頂きたいです。実際には、美容師が風呂場で背後霊のように控えているなんてことは、絶対にありえないことですが、愛情を込めて切らせて頂いた髪の毛が、少しでも長くその美しさを保てるように気配りをする気持ちには、霊として飛び出してしまうぐらいの強いものがあります。ちょっぴり生意気な発言になってしまうかもしれませんが、お風呂場でご自分の髪を洗う際には、そんな私達の心意気を少しでも感じ取って頂けたら嬉しいですね」

記者

「本日は、お忙しい中ありがとうございました」

ゲスト

「ありがとうございました」

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※掲載写真は全てイメージ画像です。今回のインタビューとの直接的な関連はありません。

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